
不安障害・パニック障害・強迫性障害
不安障害・パニック障害・強迫性障害
私たちは日常の中で、試験や仕事、対人関係など、さまざまな場面で「不安」を感じます。これは危険から身を守るために必要な自然な反応です。しかし不安障害の場合、その不安が過剰であったり、長く続いたりして、ご本人の生活や仕事、人間関係に影響を与えるようになります。
人前で注目されたり、評価されたりする場面で強い不安や恐怖を感じてしまう病気です。
「恥ずかしい思いをするのでは」「失敗したらどうしよう」という恐怖から、人との関わりを避けるようになってしまうことがあります。こうした状態が続くと、学校・仕事・プライベートに大きな影響が出てしまい、ひきこもりやうつ状態につながることもあります。
「自分はただのあがり症だ」
「もっと根性があれば大丈夫なのに…」
そう思って頑張り続けてしまう方も多くいらっしゃいます。
ですが、社交不安障害は性格ではなく“脳の働きのバランスの乱れ”が関係する病気です。
適切な治療によって、不安をやわらげることができます。
広場恐怖は不安障害の一種で、「逃げられない」「助けが得られない」と感じるような場所や状況に対して、強い不安や恐怖を感じる状態を指します。
このような症状が繰り返し現れると、「また発作が起きたらどうしよう」と、外出を避けたり、常に家族や安心できる人と一緒でなければ行動できなくなったりします。
広場恐怖は、パニック障害と併発することが非常に多いと言われています。パニック発作を経験した方が、「あの発作がまた起きたらどうしよう」と不安になり、同じような場面を避けるようになった結果、広場恐怖が生じるケースが典型的です。
パニック障害は、理由もなく突然強い不安や恐怖に襲われる、パニック発作を繰り返す精神疾患です。この発作は数分~長くても30分程度でおさまりますが、その間、「このまま死んでしまうのではないか」というほどの強烈な恐怖に見舞われることがあります。発作がないときも「また発作が起きたらどうしよう」と発作自体を恐れる、予期不安が生じ、やがて人混み・電車・一人での外出などを避けるようになり、生活に大きな支障が出ることもあります。
パニック障害は、10人に1人が人生のどこかで経験するともいわれる、比較的よくある不安障害のひとつです。発作が出た当初は「身体の病気かも」と思い、何度も病院を受診しても異常が見つからず、不安を強めてしまうケースも少なくありません。パニック障害は治療可能な病気です。当院では、薬物療法と心理療法(認知行動療法)を中心に、生活に合わせた治療を行っています。
「頭に浮かんで離れない考え(強迫観念)」と、それを打ち消そうとする「行動(強迫行為)」が繰り返される病気です。本人は「バカバカしい」「やめたい」と思っていても、不安を抑えるために繰り返さざるを得ず、日常生活や人間関係に大きな支障が出ることがあります。
強迫観念
(何度も浮かぶ不快な思考)
例)
・「手にバイ菌がついているのでは」
・「鍵を閉め忘れたかもしれない」
・「物の並びが完璧でないと気が済まない」
→頭の中に繰り返し浮かび、強い不安や不快感を引き起こします
強迫行為
(不安を打ち消すための行動)
例)
・手洗いや入浴を何度も繰り返す
・戸締まりやコンロの確認を何十回もする
・特定の言葉や数を唱えないと安心できない
→ 一時的に不安は和らぎますが、またすぐに同じことを繰り返すようになります。
不安障害の治療は、「薬物療法」と「心理療法(認知行動療法)」を軸に進めます。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬などで不安を軽減し、症状の予防を図ります。
SSRI
(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
不安障害に対して最もよく使用されるお薬の一つです。脳内のセロトニンという神経伝達物質のバランスを整えることで、不安を軽減し、恐怖の反応を和らげます。
例)
・パロキセチン(パキシル)
・セルトラリン(ジェイゾロフト)
・エスシタロプラム(レクサプロ)など
※効果が出るまでに2〜4週間ほどかかることがあります。副作用(吐き気、眠気など)は時間とともに軽減するケースが多いです。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬
即効性があるため、SSRIとの併用、急な不安や外出時の発作に備えて頓服として使用することがあります。
例)
・アルプラゾラム(ソラナックス)
・ロラゼパム(ワイパックス)など
※眠気やふらつき、長期大量内服による依存性に注意が必要です。
曝露療法
恐怖を引き起こす思考のクセに気づき、少しずつ不安のある場面に慣れていく
曝露反応妨害法(ERP)
あえて不安を引き起こす場面に触れ、「強迫行為をしなくても大丈夫」という体験を重ねていく。
例)
・手を洗いたくなる状況であえて洗わずに過ごす
・確認したくなる気持ちを我慢する
不安障害は、誰にでも起こりうる身近な病気です。当院では、お薬に頼りすぎず、カウンセリングや生活の整え方も含めた総合的な治療を大切にしています。ゆったりとした空間の中で、皆さまの不安と向き合い、安心して日々を過ごせるお手伝いをいたします。お気軽にご相談ください。
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