
統合失調症
統合失調症
統合失調症は、脳の働きに影響を与える精神疾患のひとつで、思考や感情、現実の捉え方、人との関わり方に変化が現れる病気です。決して珍しい病気ではなく、日本ではおよそ100人に1人が発症するといわれています。
多くの方が、適切な治療と支援によって症状をコントロールし、社会生活を送っています。まずはこの病気について正しく知ることが、回復への第一歩です。
たとえば、以下のような症状がみられます。
実際には存在しない「声」が聞こえる症状です。
ご本人の感じ方 | 他人には聞こえない声が自分にだけ聞こえる。しかも悪口や命令が多くて怖い |
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家族が気づく変化 | 部屋で誰かと話しているように独り言を言う、耳をふさいでいる、周囲にピリピリしている |
事実とは異なることを強く信じ込んでしまう症状です。修正が難しいのが特徴です。
ご本人の感じ方 | 「本当に危険が迫っている」「他人が自分を操作しようとしている」 |
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家族が気づく変化 | カメラや盗聴器を探す、家に鍵を何重にもかける、妙に用心深くなる、不安そうな目つきになる |
話があちこちに飛んでしまい、意味が通じにくくなる症状です。
目立ちにくいですが、日常生活に大きな影響を与える症状です。
家族が気づく変化 | 「元気がない」「前と比べて別人みたい」「怠けているように見えるけど、何か違う気がする」 |
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一見うつ病や発達障害にも似ていますが、統合失調症の一部として現れることもあります。
統合失調症では、脳の神経細胞同士のやりとりに使われる神経伝達物質(特にドーパミンやグルタミン酸など)の働きに異常があるとされています。
統合失調症の症状(幻覚・妄想など)は、ドーパミンが過剰に分泌されたり、受容体が過敏になっていることで起こると考えられています。
グルタミン酸は、記憶や学習などの認知機能に関わるため、「思考のまとまりにくさ」や「感情の鈍さ」などにも関与している可能性があります。
統合失調症は、完全な遺伝病ではありませんが、家族に患者さんがいる場合、発症リスクが高まる傾向があります。
遺伝的な要因だけでなく、個人の生育環境や人生経験も、発症や再発の引き金になることがあります。
統合失調症は、早期の発見と継続的な治療によって、症状をコントロールしながら安定した生活を送ることができる病気です。治療の柱は、次の2つです。
脳内の神経伝達物質(特にドーパミン)のバランスを整え、幻覚や妄想などの陽性症状を抑えます。再発を防ぐためにも、安定期にも継続して服用することが重要です。
定型抗精神病薬(第一世代)
昔から使われているタイプ。陽性症状への効果が高い一方で、副作用(筋肉のこわばり・震えなど)が出やすいことがあります。
非定型抗精神病薬(第二世代)
新しいタイプで、副作用が比較的少なく、陰性症状や認知機能への効果も期待できます。現在はこちらが主流です。
薬だけでなく、日常生活の安定や再発予防、社会復帰をサポートするための治療が重要です。
精神療法(カウンセリングなど)
自分のストレスの傾向を知り、再発のサインに早く気づくことができます
作業療法・生活支援
就労支援、家事や対人関係の練習、リズムの整った生活づくりなどをサポートします
病院や地域の支援機関と連携しながら、無理なく社会とのつながりを作っていきます
家族支援
ご家族が病気を正しく理解し、本人への接し方を学ぶことで、家庭内のストレスを減らし、再発を防ぐことができます ご家族向けの面談やサポートグループなども活用できます
統合失調症は、決して「心が弱いから」「怠けているから」起こるものではありません。
脳の働きに少しだけ不調が起こっただけの、治療できる病気です。
今、もし毎日がつらく感じても、大丈夫。
治療を受けることで、少しずつ心と生活は整っていきます。
時間はかかるかもしれません。でも、焦らなくていいのです。
私たちは、あなたの話をちゃんと聴き、あなたのペースに合わせて一緒に歩いていきます。
ご家族として、「何かおかしい」、「どう接したらいいかわからない」と悩まれているかもしれません。統合失調症は、早く気づき、適切な支援を受けることができれば回復できる病気です。
私たちは、ご本人だけでなく、ご家族にも寄り添いながら支援をしていきます。
ひとりで抱えこまず、どうぞお気軽にご相談ください。
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